Before (改善前)

屋外盤はその多くが雨風にさらされる場所に設置されます。この雨による水が屋外盤内に侵入すると、制御機器の基板表面に水分が付着することとなり、想定外の導通を起こすことによる故障や、化学反応による錆の発生の原因となります。これらの問題を防ぐために、屋外盤には防水性が求められ、盤の角部や継ぎ目部分は水の浸入を防ぐ溶接構造によって製作されています。しかし、屋外盤の角部や継ぎ目部分を溶接すると、盤の筐体に発生した歪みを取る作業を発生しやすく、量産効率を妨げる原因となります。屋外構造の量産盤は溶接工程が生産のボトルネックとなっていました。

V

After (改善後)

屋外盤を効率良く量産するために、角部や継ぎ目部分の溶接による防水対策から、ビス留めによる締結構造への変更がポイントとなります。溶接からビス留めに工法変更は、溶接時に発生する鋼板の歪み取りの補修工程を省くことができるため、盤製作のサイクルタイムを改善できます。この盤の締結構造で防水対策が可能となれば、高いIP:保護等級が必要になる屋外盤の量産に於いて、非常に大きな生産性の向上につながります。締結構造の盤は作業全体を見ても、溶接構造と比較して属人的な溶接技術が不要なため、防水性能(IP:保護等級)の安定にもつながります。

POINT(要約)

短期間で多くの盤の量産、特に指定仕様のIP:保護等級を満たした屋外盤の量産を行う場合は、品質にばらつきが発生し易い、属人的な溶接工程を省くことが盤製作メーカーの技術力になります。これは、金属筐体への溶接作業は熱による歪みが発生しやすく、歪み取りの修正に工数がかかるためです。盤の防水性(IP:保護等級)と量産性の両立は、設計段階からの盤の構造設計で決定するのです。