盤の防塵・防水を示すIP規格
盤に対する防滴・防水の保護レベル、その耐水構造を示すIP規格というものがあります。これは、日本国内だけでなく、世界各国で使用されている盤の防水ほぼ構造の規定になります。このIP規格は、IEC(国際電気標準会議:InterNational Electrotechnical Commission)規格、格、IEC144、IEC529、DIN40 050は、機器の保護構造を防塵性と防水性の2つをそれぞれレベルによって分類しています。日本に於いては、 JEMA:一般社団法人 日本電機工業会が、IP表示についてIEC529に準拠して規格化(JEM1030ー1983)しています。
防塵性は、IP0X~IP6Xまでの7段階の人体・固定物体に対する保護とし、防水性は、IPX0~IPX8までの9段段階の水の侵入に対する保護として、その全てのレベルを等級分けしています。
制御盤におけるIP:保護等級の目安
配電盤や分電盤、制御盤や通信盤などの筐体は、内部のブレーカー等の電気機器やPLCやインバーターなどの制御機器、それらをつなぐ電気配線を、埃や塵や水から守る役割を果たしています。この盤の筐体の仕様で上記で述べたIP規格が良く使用されています。盤筐体に高い等級のIP・保護構造を求めれば、盤の防塵・防水性能が上がりますが、一方で求める品質が格段に上がる為コストアップに直結してしまいます。標準盤(キャビネット)を販売している盤メーカーから購入する場合にも、IP:保護等級が上がれば、製品自体の価格が高くなります。設計者はコストと品質の両面から盤の構造を決定する必要があります。
盤のIP:保護等級は、つまるところ筐体の構造によって等級が決定されます。盤内部の制御機器からの発熱や太陽光からの侵入熱を考慮しない場合は、盤筐体へ放熱対策の解放部を必要としないため比較的容易にIP:保護等級を高めることが可能です。しかし、高度なマシンコントロールを必要とする制御盤では、入出力点数が多いPLC、定格容量11kW以上のインバーター、同じく定格容量11kW以上のACサーボアンプ、三相の定格電流150A以上のサイリスタなどが盤内にあれば、制御盤の安定稼働のために盤内の発熱対策が必要不可欠になります。この発熱対策のためには、盤筐体に冷却ファンや冷却機器(熱交換器や盤クーラー)を取り付けるためのパネルカットが必要となり、盤のIP:保護等級を確保することが密閉盤よりも難しくなります。
ちなみに盤のIP:保護等級の目安として、室内設置であればIP43以上、一般的な屋外に設置であればIP44以上、厳しい設置環境になればIP55以上です。(あくまでも一般的なIP:保護等級の目安)
IP:保護等級 コード表
盤に於ける防塵(人体・固形物体に対する保護)、防水(水の侵入に対する保護)の、各等級における定義と、そのテスト方法は以下の通りです。また、防塵と防水を組み合わせたコード表もご紹介しています。
< IP:保護等級(防塵と防水の保護と、試験方法) >
< IP:保護等級の組合せ >