Before (改善前)

耐食性の付加や仕上がりの綺麗さを目的として、板金加工部品へメッキ加工を行うことがあります。その部品にスタッドボスが取り付けられている場合、メッキ加工に十分な注意が必要です。スタッドボスは一般的にメッキ溶液の逃げ場がなく(スタッドボスの穴が貫通していない為)、液ダレが起こることがあります。この液だれによって、表面のメッキが侵食され、外観の不具合につながります。また、液だれを防止するためのメッキ処理加工は作業工数がかかり、作業工数の増加要因にもなってしまいます。

V

After (改善後)

制御盤などのユニットやアースを固定するためのボス等の必要部品に、メッキ処理を行う場合には、貫通圧入スペーサーを採用することが品質の安定につながります。メッキ液が溜まる構造のスタッドボスでは穴の底にメッキ液の逃げ道がなく液ダレが起こりやすくなりますが、貫通圧入スペーサーであればメッキ液が流れていくため、液ダレが発生しません。それによりメッキ処理の仕上がりが安定し、外観トラブルが起こることがありません。ボスやスペーサーなど小さな盤パーツであっても、細部にまで注意することで高い品質を実現することにつながります。

POINT(要約)

ビス止めをするためのボスやスペーサーの選定は、メッキ処理を伴う仕上げの品質安定に影響を及ぼします。ボスやスタッドピン(ボス)は、基本的にタップ穴の底に穴はなく、メッキ処理をする場合にはメッキ液が溜まる構造です。一方で貫通圧入スペーサーであれば、メッキ液が流れる構造になり、液ダレが発生しません。このように、加工の内容と部品の選定を正しく行うことで、製作品の品質の安定が可能となります。