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制御盤や分電盤、通信盤などの産業用の屋内・屋外の盤(金属筐体の中に電気機器・通信機器)を製作している企業の視点から、デジタルサイネージの製作における注意点を記載いたします。

デジタルサイネージは、①広告を打ちしだすディスプレイモニタ、②ディスプレイモニタを保護する筐体が、主な主要部品になります。しかし、これだけでは広告を映し出すことができませんので、ディスプレイモニタに広告を映し出すためのパソコンとそこへのネットワーク配線が必要になり、それらの機器は電気によって稼働しますので、電源も必要になります。デジタルサイネージの目的である広告表示については、ネットワーク回線や通信、ディスプレイモニタに打ちしだすコンテンツはソフト面になりますので、ここでは割愛いたします。

デジタルサイネージの製作で注意すべき点は、その設置環境によって大きくかわります。雨風や砂埃がかかる屋外環境に設置される場合には、防塵防水対策が必要不可欠ですし、周囲が35度以上になるような高温環境に設置させる場合は、熱対策が必要不可欠になります。ここで必要不可欠と申し上げている点は、電気機器や電気配線を設計している技術者の視点から、中長期の安定稼働の予防保全としてです。

<デジタルサイネージの注意すべて起点>
ケース① 雨風・砂埃がかかる場合 ⇒ IP:保護等級を踏まえた筐体設計
ケース② 周囲温度が35度をこえる場合 ⇒ 電子機器の仕様を踏まえた筐体内の熱対策

ケース①の防水防塵では、
筐体の防塵防水についての保護等級があり、IP45相当以上が望ましいといえます。このIPの値が高ければ高いほど、デジタルサイネージ内に塵や埃や虫、湿気が入りにくい構造になり、ディスプレイモニタなどの電子機器を保護することにつながります。
可能であればIP55相当以上あれば安心ですが、IP:保護等級を高めるデメリットとして、筐体のコスト増に直結しますので、費用対効果を踏まえた過剰スペックにならないように注意が必要です。(IP:保護等級については、本サイト内:盤のIP:保護等級の対応試験をご参照ください)

ケース②の熱対策では、
デジタルサイネージの内部にはディスプレイモニタがありますので、筐体内の温度は発熱体がある関係上、筐体外の温度よりも高くなります。そのため、周囲温度が35度をこえる場合は、デジタルサイネージの筐体内部の温度が40度以上になることが一般的です(熱対策を行っていない場合)。また直射日光が当たる場合は、50度をこえる場合もあります(夏場の車内の同じ)。
この熱の対策には、軸流(冷却)ファンと呼ばれる、外気を取り入れて、筐体内の温度を下げる対策が、比較的安価で最も一般的な熱対策として採用されています。ただし、軸流ファンは、外気をデジタルサイネージの筐体内に取り入れる際に、空気中の塵や埃や湿気も同時に取り入れてしまうことになるので、防塵効果は大きく下がります。吸気口にフィレドンフィルターを設置することで対策はできますが、その際にはフィルターの定期的なメンテナンスやファンの風量の低下が発生します。
軸流ファンのデメリットである防塵効果の低下を発生させない冷却方法が、盤クーラーによる筐体内の冷却です。盤クーラーとは産業用の室外機・室内機が一体型になった冷却機器になり、外気を取りれいることなく、デジタルサイネージの筐体内を内部循環によって冷却・除湿を行えます。動力がコンプレッサになっていますので、冷却器の容量次第では外気が40度環境であっても、筐体内を30度に保つことも可能です。盤クーラーの唯一のデメリットとしては、その機器自体にかかるコスト面になります。ただ温度・湿度環境と外気を遮断できる環境下でデジタルサイネージのディスプレイモニタを稼働させることができるため、中長期で見た際には、機器の長寿命化にもつながり、メンテナンス費用の低減や安定稼働を実現することも可能です。
これらの冷却機器を選定する際の注意点としては、家庭用エアコンに容量があるように、産業用の盤クーラーや軸流ファンにも選定が必要なため、デジタルサイネージの内部発熱や外部からの侵入熱を計算することが、間違いのない熱対策につながります。

以上、デジタルサイネージの製作における注意点を記載しました。その他のご不明点等ございましたら、株式会社マエショウまでお気軽にご質問ください。

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